(坂ノ途中HP:https://www.on-the-slope.com/corporate/)
「100年先も続く、農業を。」は株式会社坂ノ途中が掲げるビジョン。
担い手不足で耕作放棄地が増え続け、持続可能な農業とは一体どういったことを指すのか目の当りにする現在に向き合い続けている坂ノ途中。
様々な困難に立ち向かいながら広く、そして深く農業を知り、今の会社があるといいます。「100年先も続く、農業。」には、持続可能性に信念を持っている深い意味があるのだと伝わります。
今回は、環境負荷の小さな持続可能な農業を目指す企業の株式会社坂ノ途中に関する、ECサイト成功事例をご紹介させていただきます。
(坂ノ途中オンラインショップ:https://www.on-the-slope.com/)
農家の現状
現在の農業では、化学肥料を使用していることにより悪循環が生じているといいます。実際に化学肥料は、多くの農家で使用しています。効果としては、生長の速度が速まり、収穫量の増加が見込めます。しかし、他の生物との競争に勝てなくなるほど作物が弱くなるといいます。
そのため、弱くなった作物を狙う生物から守るために農薬を投入します。これを繰り返し行うことで大切な栄養素を届けてくれる微生物もいなくなり、畑は痩せて土が硬くなっていくのです。
さらには、土が固くなる前に作物を育てるために、即効性のある化学肥料の使用とそれに対する農薬の投入を繰り返す悪循環が続いてしまいます。
悪循環を引き起こす依存した農業は、生長も早く安定した収穫量が期待でき、現時点でのコスト削減には繋がります。しかし、確実に環境への負荷が掛かっていくのです。
そして、目先の収穫のための農業を続けることで「持続可能な農業の未来」を遠退けていることにもリンクしてしまいます。
他社サイトとの差別化の工夫
農薬や化学肥料に頼らない農業を目指した農家を成立させたいと願う坂ノ途中。
美味しい野菜を多くの人に届けたいという想いから通販サイトの運用を行っています。実際に、「本当に美味しい」という声が届くほど実績のある企業です。
特に、お届けしている野菜セットにはこだわりがあり、採れたてで鮮度の良い野菜をバランス良くお届けしています、セットの中には珍しい伝統野菜、西洋野菜が含まれていて、他社では楽しめない様々な野菜を堪能いただける工夫もされているのです。
季節を感じていただけるように、春夏秋冬で中身の変化もあるため、非常に充実した内容です。
また、野菜を使いこなせるか不安を抱くお客様には、言葉でしっかりと説明することを心掛けオンライン、カスタマーサポートも整えているといいます。お届けする内容に関しても、疑問を感じさせないように野菜の説明を添えています。
お客様からの野菜についてのクレームには、農家の方と連携し改善に努めているそうです。
自社サイトの課題
お客様がお届けした野菜の食べ方に迷わないよう、レシピや保存方法のコンテンツ作りにも力を入れています。
ただし、作成したコンテンツを見てもらうことが重要です。そこで、課題も見つかったといいます。それは、コンテンツを適切なタイミングでお客様へお届けすることです。
しかし、当時の従業員数では、細かい調整ができるキャパシティーがありませんでした。速度を上げたタイミングの良いアプローチの解決は難しい問題だったといいます。
課題に対する対策
結果的には、従業員の負担を削減するための他社ツールを導入しました。
特定の食材を使用したレシピページを閲覧している人に対し、食材を販売するタイミングにお知らせを通知、また、興味を抱いているお客様に向けて商品にまつわるコンテンツを表示することができるようになりました。
他にも、定期宅配を利用している方のみのマイページに新機能が追加できるようになりました。今までは、エンジニアの開発が必要で時間が掛かってしまう工数でしたが、簡単に必要な機能を増やすことに成功しました。
必要な機能を活用できる他社ツールも効率を上げるには実用的です。自社開発にも力を入れてつつ、そういった機能のあるツールの活用も視野に入れたことで、できることが格段に広がりました。
「顧客理解」にも好影響
ツールの導入時から「顧客理解」が深まる気付きが増えたといいます。今までではできなかった機能が充実したことで、お客様から新しいお問い合わせも増加しました。
通販においてお客様の声は非常に重要です。一人ひとりと向き合い顧客満足に繋がるよう、社内での議論も重ね方針転換などの選択肢も選べるようになりました。お客様の声を拾い改善に努めることが、自然とお客様の購入体験の質を上げることにも繋がっていきます。
以前までは、全体の数値をもとにした仮説での議論が主でした。しかし、今では、実際にお客様の行動を具体的に見れるようになったことでお客様視点からの議論ができているといいます。
さらに細かい視点から「課題」を見つけ、改善に努める好循環が社内の動きとしても広がっているそうです。
具体的な気付きとは?
特に大きな気付きとなったのは「解約導線」です。解約の方法については、サイト上での表記もまとまっていらず、仮説として迷いやすいのではないかと話に上がっていました。そこで、お客様の動きを見ることができる機能を活用しました。すると予想通り、解約するために複数のページを行き来して迷っているお客様が多かったといいます。
確かに、解約導線を分かりやすく改善することで、解約するお客様が増加する懸念があります。ただ、サイトが分かりにくいが故に、出で戻りのお客様の再利用にも繋がりません。充実して見やすいページを作ることで良い体験を増やし、出戻りのお客様の獲得にも繋がる改善を行いました。
お問い合わせに関しても、お客様の行動が分かる様になってからは同じような悩みを持つお客様への仮説を立て、サイト改善が進んだといいます。窓口の改善を行ってからは、お客様の問題解決が適切に可能になったことで3倍以上解約率が減少しました。お客様の動きを実際に見ることができる機能は、非常に役立っているため、スタッフ間のモチベーションアップにも繋がり、相乗効果が生まれているそうです。
埋もれた問題点の発見の重要性
実際、スタッフは毎日のようにサイトに触れています。そのため、お客様目線でサイトを活用した際の問題点が埋もれやすく、気付きにくいことが現状です。仮説を立てても実際のお客様の気持ちが把握しきれず、行動も遅れてしまうこともあったといいます。
読むスピード、読み方や目線など、お客様の実際の行動把握は非常に重要です。スタッフ間でも仮説に対しての検証もしやすくなり、サイトはより良い方向へ変化していきます。
まとめ
事業全体で顧客理解度を深めていけるように、多くのスタッフにお客様動向に意識を向けてもらい、全体の成長を目指すという坂ノ途中。
仮説に対して、適切な対応ができることでお客様の動向に変化があります。正しい把握は、実際にただサイト運用を行っているだけでは非常に難しい部分です。
お客様の求めていることを正しく理解し、距離を縮めていくことでサイト改善がスムーズに行えます。
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