サステナブル商品にこだわって石鹸を販売している石鹸百科。
環境や人にやさしく、科学的にも安全だと証明されたもののみを扱っているため、そのような商品を必要としているニーズに向けたアプローチが重要です。
社会問題でもある環境汚染についての配慮を課題とし、「資源の有効利用と快適な生活の両立を目指します」を企業理念としています。
ショップページには、アサガオの色水を使ったアルカリ性と酸性の実験内容なども記載されていて、とても興味深いページとなっていました。
毎日のように使う消費財は、大体が小売店に営業を掛け、商品を置いてもらって販売ができます。
まずは、商品を認知いただけるように知名度を上げることから始まりますが、小売店では陳列の場所や置き方により注目度が変化するためとても重要だといいます。
しかし、石鹸百科は、こだわりの条件をクリアした通常よりも高値の商品を扱っているため、ドラックストアや小売店ではお客様層が異なります。
限られたニーズに向けて、値段相応の理由があることやひとつひとつが良い商品であることをお伝えするには、ECサイトでの販売が有効だと考えました。
(石鹸百科ECショップ:https://www.live-science.co.jp/store/php/shop/)
目次
100位圏外だった検索エンジンのSEO対策
大型ECモールの楽天を退店し、2005年に「石けん百科」を運用開始。
日用品として当たり前に活用している“せっけん”というワードを、検索エンジンの上位にヒットさせるためには、そもそも漢字でなければ出てきにくいことが分かり、自社で運営している情報サイトのタイトルから見直したといいます。
当時、「石けん百科」として運用していた情報サイトですが、ユーザーの検索傾向として漢字で“石鹸”がメジャーだったため、「石鹸百科」へ変更。※販売サイトは「石けん百科」
その他のページでも、言い回し、文章表現の細かい修正を行い、検索ワードをひとつひとつ丁寧に見直しました。都度変更を行った際のスモールサクセスも見逃さずに、結果が出たことはコツコツと継続することで、今ではネット検索の“石鹸”というワードで、上位5位以内に表示されるまでにSEO改善することができました。
(石鹼百科情報サイト:https://www.live-science.com/)
各サイトの連動により売上アップを目指す
情報サイトを上位に表示される結果は残せたものの、売上の向上にはうまく繋がらず、石鹸百科のこだわりのある商品を必要としているニッチなお客様がサイトまで辿り着けていないことが大きな課題でした。
当時、石鹸百科が運営しているサイトはショップのみならず、情報掲示板や情報サイト、美容専門サイトなども運営していました。多数のサイトを持っているにも関わらず、ショップへの導線はほぼない状態で、連携活用しきれていなかったといいます。
海外に行って仕入れるほどにこだわった品揃えをしていて、それに伴う原料や環境に関わる必要な情報も揃っているのに、最も大切な必要としているお客様へは全く伝わっていない状況でした。
様々な分析を行った結果、サイトの構造の工夫次第で流入率が上がることが分かり、2009年からは、各サイトを順番にリニューアルへ。
(読んで美に効く基礎知識:https://cosme-science.jp/)
お客様第一で、全てのキーワード改善&コンテンツへ文言追加
お客様が商品を探すとき、どのような検索をかけるのか、どのように流れて辿り着くのかなど、お客様の使いやすさを重点に議論したといいます。
実際に、このキーワードで本当に欲しい商品へ辿り着けるか、このページにこのリンクがあったらいいなと思うのではないか…など、スタッフが意見を出し合い、最善のサイト最適化を行いました。
商品説明欄には、スタッフが感じたことや、さり気ない一言を全て追記。また、過去の活用しきれていなかった掲示板の内容をコンテンツ化するなどにも注力しました。
これらを実現するまでにスタッフは、常に“お客様にとって、どれほどに良い商品なのか”が伝わるような文章を何度も書き直して作業を行ったそうです。
言われたことを文章にするのではなく、運営者が自分の目で見て、実際に使って、体感したうえで、こうした方が良いと感じた事実を伝えていくことが大切であることが伝わります。
関連するリンクを手作業で挿入
情報ページには、様々な商品や取扱いに関わる知識や説明が掲載されていますが、ページをスクロールすると、下段には関連する商品情報や、付随するリンクが多数貼られていました。
これらは、”お客様にとってあったらいいのでは?”をスタッフたちが考え、手打ちでリンクを貼っているそうです。
関連するページ、商品、情報などのリンクをページ下部に設置し、様々なシチュエーションや購入動機、閲覧導線に対応できる複数のニーズ向けの対策に役立たせました。
SEOを意識したサイト最適化ではなく、お客様にとって”価値のあるサイト”となるように、お客様視点の工夫がなされています。
コンテンツ強化により、アクセス数倍増
Googleのアルゴリズムもあり、変動があるたびに左右するアクセス数ですが、石鹸百科の流入は安定の右肩上がりに。
情報サイトとショップを連携し、お客様が回遊しやすいサイトにするためにリニューアルを行った結果、運用しているサイト全ての閲覧数が1.5倍以上アップしたといいます。
運用サイトの回遊が良い効果へと繋がり、ショップの売上も向上。
お客様がどのような理由でサイトを訪れているのか、細かい回遊導線を分析して最適化を行ったことで、「商品が欲しい」「情報を知りたい」「使用方法を知りたい」と、幅広い訪問ニーズを獲得することに成功しました。
まとめ
お客様が『どの様な検索ワードでサイトにアクセスしているのか』検索動機を読み解いていくと、訪れた理由は、各々異なる理由であることが想定できます。
その想定をもとに、改善すべき点を洗い出し、必要としてくれているニーズ毎にパターンを当てはめながら、気付きを具現化した石鹸百科。
検索されるワードから読み取る事のできるお客様心理は、販売する運営者側にとって、とても重要な情報です。
その情報を元に、需要の高いコンテンツ化を行うなど、お客様の検索動機を起点としてECサイトのリニューアルに成功した事例でした。
コツコツとスタッフの手で入力されたひとつひとつの文章には、売りたいという心より、商品の良さを知ってほしいという想いが強く感じられるECサイトだと感じます。
立ち上げ時には、理想のペルソナ基準でサイト作りを行い、気付きを経て、その現状に合わせた変化を取り入れていく柔軟なサイト改善を参考にしたいと思います。