アンブリオリスでロングセラーとなっている「肌の自然な美しさを引き出すことを目的とした、誰もが使える手頃な価格のクリーム」モイスチャークリーム。
この商品の始まりは、1950年、パリの病院で勤める皮膚科医の開発からスタートしたといいます。
次第に口コミで名を広め、有名なメイクアップアーティストや世界中の女性たちに求められる、愛されブランドへと成長します。
特に、アンブリオリスのモイスチャークリームは、世界中で数千万個の売上を記録。
実店舗のみで販売をしていたにも関わらず、人気はどんどん広まり、世界中で認知度が高まりました。
EC販売を行った結果、半年で好調なコンバージョン率を打ち出せた施策とともにご紹介いたします。
(アンブリオリス公式サイト:https://www.embryolisse.co.jp/)
目次
ECサイトを立ち上げた目的
日本のバラエティーストアで販売を開始したのは、2000年頃。
既に、口コミが多くのお客様に拡散されていたアンブリオリスは、もともと新商品のPRとして、有名なインフルエンサーやメイクアップアーティストに商品紹介の依頼や、SNS活用も豊富に行っていました。
今では、自発的に有名人やユーチューバーが口コミに投稿してくれるほどに。
そんな強味を持つアンブリオリスがECサイトを立ち上げた理由の一つとして、周囲に認知度はあっても、購入できる場所がないということでした。
今では多くのお客様がECサイトで購入する時代となり、特に若いお客様との接点を持つことは、今後必要だと感じたそうです。
ECサイトのターゲットは、いつもご購入いただくお客様はもちろんのこと、商品は知っているけれど、購入に繋がっていない若年層向けに的を当てました。
そんなターゲットのカスタマージャーニーを想定したプロモーション設定を立てることからスタートしたといいます。
※サイト内で肌診断ができます。
若いターゲット層に刺さる施策を様々な角度で試行
知っているけど購入歴のない潜在顧客に向けた施策として、お試しでも購入できそうなトライアルサイズの商品を開発、さらに、商品の紹介とECサイトのオープンを記載したタイアップ企画も実施。
もともとWEB上の口コミで知名度はありましたが、ファッション誌に掲載いただくことで、さらに広いお客様層への知名度拡大を図ります。
また、ECサイトでご購入いただいたお客様限定のキャンペーンやプレゼント企画も同時に打ち出し、買い物意欲を落とさない試行錯誤も行いました。
媒体で商品を知り、WEB検索を掛け、価格帯は購入しやすくお手頃に、さらに思わずSNSに投稿したくなる可愛いプレゼントも付いてくることで、さらなる拡散へと促すまでが、カスタマージャーニーのプロモーション設計でした。
大好調で新規のみでコンバージョン率7%を達成
コンバージョン率7%という成果が出たときのお客様比率は、リピーターより新規のお客様の方が高かったといいます。
気になる流入経路ですが、ブランディング力に長けているアンブリオリスのPRの成果もあり、オーガニック検索、リスティング広告どちらからも指名検索から多くの流入がありました。
こういった流入を事前に想定したカスタマージャーニーを考案したことが、結果として明確に表れ、誘導に繋がっています。
また、決済手段としてお客様の入力情報の省略ができるAmazon Payを導入したことで、かご落ちを防ぐとともに、利便性から支払い方法の50%弱を占めているそうです。
ECサイトは、こういった些細で面倒な動作の削減が重要です。
特に、購入までに滞ることがないストレスフリーな支払い方法の追加や支払いページ改善は、今では多くのECサイトに工夫が感じられる箇所になります。
(YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCggW8VW4KNQVnL9nLtZJ3hA)
プロモーション設計から伴うサイトデザイン、PRなどの統一性
サイト制作やそれに伴う目的、認識には必ず同じ考え方を持つ一貫したチームでなければ効果を最大限に発揮できません。
コンサルティング、デザイン、広告を全く違う会社にそれぞれ依頼する企業も少なくないですが、認識を一致させるためにはとても時間が掛かり、幾度とない会議が必要となります。
そういった面を解消するために、一貫して対応していただける企業に依頼をし、最後まで同じチームで走り抜けていく方が成功に繋がりやすいパターンのように感じます。
細かい数値の共有や、見ている方向性、タイミングが同じであることがとても大切です。
その環境を考慮して他社とタッグを組んだ選択が、このような成功に繋がっている要因だといいます。
※Instagram検索結果
今後の対策と導入したい機能
新規の開拓が順調に右肩上がりであることに対し、今後はリピーター対策を行う予定だといいます。
初回購入から引き続きアンブリオリスで購入いただくために、若年層に向けたLINE活用を検討中。
お客様が次回を検討するジャストタイミングでのアプローチは、セグメント別に内容を変更できる方法が効果的です。また、ターゲットである若年層に向けてキャンペーンやイベント情報をLINEで発信する方が、反響が期待できます。
さらに、追加機能として支払い方法にクレジットカード番号保持機能の導入も検討しているそうです。
お客様のクレジット番号を記憶しておくことで、次回以降のクレジット番号の入力が省けるといいます。
まとめ
モイスチャークリームが大人気のアンブリオリス。
商品も豊富なため、モイスチャークリームのみならず、その時々の肌に合う他の商品の認知度も上げていきたいといいます。
様々な有名人が愛用していることは、初めて購入するお客様の大切な購入きっかけとなります。長期に掛けて行い続ける商品のブランディングは、後に新しい施策に役立ち、そこからさらに新しい商品へと形を変えて、また拡散していきます。
“種をまき、芽が出てからはゆっくり確実に育て、摘まずに種を増やしていく”、そんなアンブリオリスのECサイト立ち上げ時のプロモーション設計には、学ぶべき点がとても多くあります。
メイクアップアーティストが使用している点でも、個人的にとても興味をそそられるポイントです。